自営業の奥様へ②

妊婦さん

飲食業の妻、増田です。

前回のつづきですが、まずは当時のバカな失敗話です。前の店でのオープン時、私は妊娠7ヶ月でした。自分も家計を支える身として、夜8時頃まで広告代理店で働き、毎晩必ず彼の店へ様子を見に行きました。カウンターに座っていれば、サクラの代わりになるかも…と、本気で思ってました(ちなみにビルの2階だったので、外から見えません)。店内の装飾をしたり、メニューを綺麗に書き直したり、ショップカードを作ったり、いま思えば完全に空回りです…お客様が来ない店なのに、“内”ばかりを気にしていたんです。

少しあとに知ったことですが、新規のお客様が来店しない理由の第1位は、「店の存在を知らないこと」なんです。うちのことが好き・嫌い以前に、「知らない」わけです。だから、まずやらなければならないことは、店内をキレイにすることでもなく、私が毎晩サクラになることでもなく、人に「知らせる」=「広告」だったのです。大手広告会社に10年以上いた私ですら、渦中にいると気づきませんでした。腕に自信があればあるほど、「みんな、うちの店を知ってる」という錯覚に陥ります。「まだまだ知られていない」──そこを常に頭において行動できるか、できないか…それが、遺(のこ)るか、潰れるか、の境目です。

そんなことに気づかないで、「うちの旦那の料理は美味しいのに!」と、完全に“身内目線”で応援していた私。自分の応援の仕方が間違えていたことに気づいたとき、ほんとに恥ずかしかったです。夫はアナログ人間だったので、外に発信することは本当に苦手…そこで私の真価が問われるとき。いよいよ臨月にさしかかった私は、ネットで“あること”を調べまくりました。そこから、運命の歯車が動き出した気がします。

つづく…