自営業の奥様へ⑨〜本当の気持ち〜

分かれ道のイメージ写真

飲食業の妻、増田です。

あくまで私見ですが…もしも、夫に成功してほしいと思うなら、“あるひと言”を言わないほうが、成功への近道だと、私は思います。特に、共働きの奥様はご注意です。さて、前回の続きです。


月に1回、もしくはそれ以上のペースで、セミナーを受けに行く夫。気づけば、名刺の数もそうですが、Facebookでの友達の数もかなり増えているようでした。私の知らないところで、交友はどんどん広がっていました。娘の育児に追われていた私は、そんな夫が羨ましくもありましたが、、、

10年近く閉鎖的な環境にいた夫が、水を得た魚を飛び越え、鮪のごとく動き回っているのは、私にとっても嬉しいことでした。あるとき、夫は「人前で自分の体験談を話してくる」と言って、日曜のお昼に出かけて行きました。もちろん、シェフである夫が不在なので、お店は休みになります。正直「お店を閉めてまで…?」と思いましたが、、、「まぁ、これも経験だから…」と、自分に言い聞かせて、静観してました。そして、帰ってきた夫に詳細を聞くと「聴講者は何十人かいて、その前で1時間弱くらい話をし、とても楽しかった」と、嬉しそうに語ってくれました。そのときは、「へー、そうなんだ。良かったねー。」程度で聞いてましたが…その後、Facebookで繋がった方などから、「ゲストスピーカーで来てくれませんか?」と、お誘いがあり、店の定休日には、いそいそと出かけて行くようになりました。もともと、夫は人前で話すのが好きな性分なので、多忙ながら、まんざらでもないようです。私は、「家族で過ごす時間が、どんどん少なくなるんだけど…」と、言いたい気持ちをグッと堪えて、見送ってました。そして、遂には、「セミナー事業を始めたい」と、夫が言い出したのです。要するに、自分がどうやって売上を6倍にしたかを、同業者に包み隠さず、話していきたい──とのことでした。

私「本気で?」
夫「本気で。」
私「でも、なんで?手の内を明かしちゃっていいの?」
夫「腕に自信のあるシェフが、マーケティングの知識がないために、集客がうまくいかず、店を閉めたり、夜中にバイトする…そんなのは悲しすぎる…うちがやってきた方法を、他の飲食店も実践すれば、きっと売上が安定して、収入も安定するはず。そしたら、休みも取れるし、家族との時間も創れる。飲食店に勤めたい人も増える。飲食店が元気な街は、活気がある街だと信じてる。だから、マーケティングを勉強する大切さを、成功も、失敗もした自分だからこそ、静岡の同業者に伝えていきたい。」

夫がそこまで考えていることに、私は驚き、そして、ちょっと感動しました。私自身も、静岡に来た当初は、いろいろ戸惑いましたが、、、落ち込んだときに元気をくれたのは、やっぱり静岡の街の人でした。リーマンショックも経験して、暗くなった気持ちを、奮い立たせてくださったのは、この街で働いている人たち。

「この御恩をいつかお返ししたい。」

社会に貢献できる事業で独立したいと、思いながら…現実に追われ…なんとなくズルズルといました。娘が産まれたことを理由に、“現状維持”に、徹していたような気がします。そして、万が一に備えて、私がサラリーマンでいることも、夫にストッパーをかけているのではないか?──そんなことも感じていました。夫の決意は、「お前も好きなことをしろ。」と、背中を押している気がしました。

「…じゃあ、私、仕事辞めるわ。」

自然と口に出ました。そして、私は11年勤めた大好きな会社を辞め、夫とセミナー事業をスタートさせました。いま思えば、ここが、完全独立への第一歩でした。ラスト⑩に続く…


「私が稼ぐから!」という一言は、男性のプライドを傷つけ、ヤル気にストッパーをかけるようです…。来年もモチベーションを上げるサポートをしていきたいです。